移住先の家選びで失敗しないために|住んでから気づいた5つのこと
「いつか、地方で暮らしてみたい」
そう思ったことはありませんか?
私も漠然とそう思っていました。都会の慌ただしさから離れて、静かな場所でのんびり暮らしたい。家賃を抑えて、自分らしいペースで生きてみたい。
そんな気持ちが頭のどこかにあったと思います。
実際に暮らし始めてみて、気づいたことがあります。
移住で大切なのは「どこに住むか」も大切なのですが、「その土地で、どんな家に住むか」が、毎日の暮らしをまるごと変えてしまうということです。
写真で見たときは素敵だった家も、実際に生活してみると「こんなはずじゃなかった」と思うことがあります。

内見の日、私は「景色」だけを見ていた
少し私の話をすると、家を決めた日のことは今でもよく覚えています。内見で案内された部屋の窓を開けると、坂の向こうに街が広がっていました。「ここだ」。そう思った瞬間、私の頭の中から、確認すべきことがすべて消えてしまったのです。
バス停までの道のりも、買い物のこと、夜の様子も、ゴミ出しのルールも。気がつけば私は、その場で「ここにします」と答えていました。
その結果、暮らし始めてから「え、こんなことまで確認していなかったの?私は何を見て決めたんだっけ?」と思う場面に、何度も出会うことになります。
この記事は、そんな私の失敗をもとに、「家選びで確認しておきたい5つのこと」をまとめたものです。
この記事でわかること
- 坂の街で、「徒歩〇分」の落とし穴
- 「静かな場所」と「暮らしやすい場所」の違い
- 内見で、家の外を見る方法
- 「安い家」にかかる、見えないお金
- そのまま使える、内見チェックリストと質問リスト
1. 「駅から徒歩〇分」だけでは、暮らしやすさはわからない
家を探すとき、まず気になるのが交通の便ですよね。私も「バス停まで何分?」「スーパーまで遠いのでは?」と気になっていました。でも、実際に暮らしてみると、それだけではありませんでした。
長崎は坂の街です。地図上の「徒歩10分」が、平坦な道なのか急な坂道なのかで、体感はまったく違います。
そのとき
内見の日、私は不動産会社の方の車で、家の前まで案内してもらいました。実は、バス停から家までの道を自分の足で歩いていません。「まあ、歩けばいいし」と軽く考えていたのです。
暮らしてみて
引っ越して数日後、はじめて自分の足でバス停から家まで歩いて帰りました。荷物を持っていたせいもあり、思っていたよりずっとしんどい。しかも、雨の日の坂道は、足元が気になって、景色なんて楽しむ余裕もありません。
買い物袋を両手に下げた帰り道。雨が降っている日。真夏の蒸し暑い午後。そういうときに、あの坂を毎日登るのだと、そこで初めて実感しました。毎日のことになると、小さな不便が積み重なって、ストレスになっていくんです。
今ならこうする
- 内見のときは、必ず自分の足で、バス停(または駅)から家まで歩く
- 歩きながら「この坂、思ったより急だな」「夜は暗そうだな」「歩道が狭いな」を確認する
- 荷物を持った状態を想像して、帰り道を想定して歩いてみる
2. 「静かな場所」は、暮らしやすい場所とは限らない
地方移住の魅力のひとつが、静かな暮らしです。車の音が少なくて、自然があって、のんびり落ち着いた雰囲気。それは本当にそうなのですが、でも、静か=便利ではありません。
住宅地によっては、近くにコンビニがなかったり、スーパーまで車が必要だったり、バスが1時間に1本しかなかったりします。
そのとき
私は、内見のときの静けさに、すっかり心を奪われていました。「ここなら、のんびり暮らせそう」。それ以上のことは、ほとんど考えていませんでした。
暮らしてみて
暮らし始めてしばらくして、ふと「何か足りなくなったとき、すぐに買いに行ける店がない」ことに気づきました。夕飯の途中で調味料が切れても、気軽には買いに行けません。「ちょっとコンビニへ」が通用しないのです。
静けさは、「何もない」ことと背中合わせでした。
今ならこうする
若いうちは「車で行けばいい」で済むかもしれません。でも、5年後、10年後も同じ生活ができるとは限りません。私は移住してから、「今暮らせるか」だけでなく、「年を重ねてもここで暮らし続けられるか」という視点で考えるようになりました。
- 「静かさ」と「生活の便利さ」を別々に書き出して比べる
静かなところでゆっくり生活することに憧れる気持ちは、よくわかります。ただ、その静かさと「無理なく生活できる環境があるか」をセットでよく確認してほしいのです。
3. 内見では「家の中」はもちろん、「家の外」もしっかり見る
物件を見に行くと、どうしても家の中に目が向きます。日当たりはどうか。部屋の広さは。キッチンは使いやすいか。収納は足りるか。
それももちろん大切です。でも、移住先の家選びでは、家の外を見ることが家の中を見ることと同じくらい重要になります。
確認しておきたいのはこんなこと。
- ・スーパー・コンビニまでの距離
- ・病院・薬局の場所
- ・バス停までの道のり(坂の傾斜も)
- ・ゴミ出しの場所とルール
- ・夜の街灯の明るさ
- ・携帯電話の電波・ネット環境
そのとき
私の内見は、昼間に一度だけ。家の中を見て、窓からの景色を見て、それでおしまいでした。
暮らしてみて
暮らし始めてから、一つひとつ「確認していなかったこと」が出てきました。ゴミ出しの場所とルール。夜の道の暗さ。近くの病院や薬局の場所。「最初に確認しておけば、もっと安心して始められたのに」と、何度思ったかわかりません。
昼間は静かで穏やかな場所でも、夜になると印象ががらりと変わることがあります。内見は「その瞬間の家」しか見せてくれません。暮らしの中の家を見るには、時間をかけて、あちらからこちらからと、多方面から確かめなければなりません。
今ならこうする
- 内見は、昼と夜、できれば平日と休日にも、複数回行く
- 家に入る前に、まず家の周りを歩く
- ゴミ出しのルールは、不動産会社や自治体のサイトで確認する
- スマートフォンを持って、電波とネットの状態をその場で確かめる
4. 「古い家だから安い」には、ちゃんと理由がある
地方では、都市部では考えられないような価格の物件に出会うことがあります。「こんなに広くて、この家賃?」と思わず二度見してしまうような物件が、本当にあるんです。
でも、安いには理由があるものです。
古い家には、住んでから気づくことがいろいろあります。断熱性が低くて冬がとにかく寒い、結露やカビが出やすい、水回りが古くてトラブルが起きる、庭の手入れが思った以上に大変、などです。
そのとき
私は「家賃が安い」という数字に、すっかり安心していました。その数字の裏に、何があるのかは、考えていません。
暮らしてみて
暮らし始めると、家賃に表れない出費や手間が、少しずつ見えてきました。まず高台にある、バスがあまり通らない、近くに商店がない。冬の寒さ、湿気、細かい手入れが必要。「家賃が安い」と「暮らしが安い」は、まったく別のことだったのです。
今ならこうする
家賃だけで「お得」と判断せず、光熱費・交通費・修繕費まで含めた総コストで考えることが大切です。
家賃以外にかかるお金の例
- 冷暖房などの光熱費
- 車の維持費、またはバス代などの交通費
- 水回りなどの修繕費
- 湿気やカビの対策費
- ネット回線の費用や工事費
不動産会社には、次のことを聞いておくと安心です。
- 築年数と、断熱・水回りの状態
- 前の住人の光熱費の目安(聞ければ)
- 修繕が必要になったとき、誰が費用を負担するのか
5. 「この家が好き」と「この場所で暮らせる」は別の話
これが、一番伝えたいことなのですが、内見をすると、「この家、いいな」と感じることがあります。窓からの景色、部屋の雰囲気、古いけれど味のある空間。私も「ここで暮らしたい」という気持ちが先に立ちました。
でも実際に暮らしてみてわかったのは、家そのものより、毎日の生活動線のほうがずっと大切だということです。
朝起きて、ゴミを出して、買い物へ行って、仕事へ行って、帰ってくる。これを毎日繰り返します。
そのとき
景色に心を奪われて、「ここにします」とその場で決めてしまいました。
暮らしてみて
景色を眺める時間は、一日のうちの、ほんの一部。坂を登り降りして、買い物をして、手続きをして、という時間のほうが、はるかに長いのです。そのことに気づいたとき、「家を選んだつもりが、景色を選んでいただけだった」と思いました。
今ならこうする
だから「素敵な家かどうか」よりも、「ここでストレスなく生活を続けられるか」を確認してほしいのです。
旅行なら「景色がきれいだからいい」で十分なのですが、暮らすとなれば、雨の日の坂道も、重い荷物を持った帰り道も、全部「毎日のこと」になるのです。
- 「好きなところ」と「毎日の生活」を、別々に書き出して、両方に〇がつくかを確認する
- 朝のゴミ出し、買い物、帰宅という「1日の動き」を、その場所で実際にたどってみる
もう一度家を探すなら、このチェックリストを
内見のときに確認したいことを、まとめておきます。
【家の中】
- 冬の寒さ・夏の暑さの感覚
- 水回りの状態
- 給湯器・エアコンの年式
- 窓まわりの結露・カビの跡
- 雨漏りの跡
- ネット回線・携帯電波
- コンセントの数と場所
【家の外】
- スーパー・コンビニまでの距離
- 病院・薬局の場所
- バス停まで実際に歩く
- 坂道の傾斜
- 夜の街灯
- ゴミ出し場所とルール
- 近隣の空き家の数
【時間帯・季節】
- 昼と夜の両方
- 平日と休日の両方
- できれば、冬と梅雨の時期にも
そして最後にもう一度。実際に歩いてみることです。
不動産屋さんに車で案内されて行くだけでなく、自分の足で、自分のペースで歩いてみましょう。
移住は「家探し」ではなく「暮らし探し」
移住というと「どこの地域に住むか」ばかり考えてしまいがちです。
でも本当に大切なのは、その場所で、どんな毎日を送るかなのです。
私は移住してみて初めて気づいたことがたくさんありました。「もっと調べておけばよかった」と思うことも出てきました。でも、それも実際に暮らしたから見えてきたことです。
だから、これから移住先の家を探す方には、「この家に住みたい」ではなく、「この場所で、暮らし続けられるだろうか?」という目線で選んでほしいと思っています。
焦らなくていいのです。理想と現実を両方見たうえで選ぶ、それが、新しい暮らしを大切にするための、最初の一歩だと私は思っています。
