地方移住と仕事のリアル|収入が下がった私が「先にやっておけばよかった」こと
移住を考えるとき、多くの人がこう思います。
「仕事、どうしよう」
そこに住みたいのだけど、仕事のめどが立たない。だから一歩が踏み出せないという話は、よく耳にします。
実際、移住をためらう理由の上位に挙がるのは、「仕事・収入への不安」だと言われています。
この不安、私も感じていました。そして正直に言うと、移住してから仕事で「しまった」と思うことがいくつもありました。今回は、その失敗も含めて、地方移住と仕事のリアルを書いていきます。
この記事でわかること
- 私が経験した「仕事の失敗」とそこから学んだこと
- 地方の仕事事情
- 移住の働き方4パターンとそれぞれの落とし穴
- 収入が下がったときの考え方
- 移住前の「仕事チェックリスト」

私が経験した「仕事の失敗」
まず、自分のことを話しますね。
移住前、私は事務・オフィス系の仕事をしていました。長崎に来てからも、同じような仕事に就けると思っていたんです。
でも実際に求人を探してみると、希望に合う仕事が、思ったよりありませんでした。
都市部では当たり前のようにあった求人が、長崎では数えるほどしかない。あったとしても、条件が合わなかったり、採用枠がすでに埋まっていたり。
「なんとかなるだろう」と楽観的に考えていた私は、かなり現実の厳しさにさらされることになります。
結果として、希望とは少し違う仕事に就くことになりました。正社員からアルバイトの生活になり、収入は、移住前の3分の2くらいになりました。
【私の失敗談】 求人を見てはじめて気づいたこと
最初に求人サイトを開いたとき、私は画面の前で、しばらく動けませんでした。事務の仕事で検索しても、出てくる件数が、都市部とは桁が違ったのです。条件を少し緩めて探し直しても、結果はあまり変わりません。
「来てから探せば、なんとかなる」と思っていた私は、そこで初めて、貯金がすごいスピードで減っていくのを感じました。焦る気持ちが、日に日に強くなっていったのを覚えています。
それでも得たものもあった
最初は「生活できるかな」と不安でした。でも、支出を見直したこと、そして自分が本当にやりたいことを考え直したことで、今は別の仕事に就いています。
あのとき収入が下がったことが、かえって「自分はどう働きたいか」を真剣に考えるきっかけになったとも思っています。
ただ、もし移住前の自分に言えるなら、こう伝えたいです。
「もっと早く、現実の求人を見ておきなさい」と。
まず知っておいてほしいこと
地方の仕事事情について、最初にお伝えしておきます。
地方の求人は、都市部より少ないです。
これは事実。業種によっては、希望に合う仕事がなかなか見つからないこともあります。給与水準も、都市部と比べると低いことが多いです。
でも、だからといって「仕事がない」わけではありません。
大切なのは、移住前に「自分はどの働き方で移住するか」を決めておくことです。
地方移住の働き方には、大きく分けて4つのパターンがあります。順番に見ていきましょう。
パターン① 今の仕事をそのまま続ける(リモートワーク)
この10年で、働き方はずいぶん変わりました。パソコンとネット環境さえあれば、どこでも仕事ができるようになりました。そんな人にとって、地方移住のハードルはぐっと下がっています。
リモートワークで今の仕事を続けながら移住する、これはいちばんリスクの低い方法だと思います。
ただし、確認が必要なことがあります。
- 会社がリモートワークを正式に認めているか
- 住民票を移しても問題ないか
- 住む予定の場所で、ネット回線がしっかり使えるか
特にリモートワークでは、ネット環境は必須です。山間部や一部の地域では、光回線の状況が不安定なところもあります。仕事で使うのなら、移住前に必ず確認が必要です。
リモートワークで移住した人の声でよく聞くのは、「仕事はそのままで、生活の質が上がった」というものです。家賃が下がり、通勤がなくなり、時間に余裕が生まれた。可能であればそういう移住のかたちも、十分ありだと思います。
ここで失敗しやすいこと
- 会社の口頭の許可だけで動いてしまい、あとから制度が変わる
- ネット回線の確認が遅れて、仕事の開始に間に合わない
- 在宅で仕事が完結して、地域とのつながりが薄くなる
パターン② 移住先で新しい仕事を探す
「移住先で仕事を探せばいい」この考え方自体は間違いではありませんが、甘く見ると痛い目を見ます。私が、まさにそうでした。
先にも言いましたが、地方の求人は、都市部ほど多くありません。特に専門職や、特定の業界経験を活かしたい方には、選択肢が限られることがあります。
長崎で多い職種は、医療・介護・福祉、観光・宿泊・飲食、製造業、農業・漁業などです。ITや広告、メディア系の仕事は、徐々に増えつつありますが、求人の数自体が少ない傾向にあります。
移住前にやっておきたいこと
- 移住先のハローワークや求人サイトで、実際の求人を見てみる
- 希望する職種の求人がどのくらいあるか、給与水準はどのくらいかを確認する
- 貯金は最低でも6ヶ月分、できれば1年分を用意しておく
「向こうで探せばなんとかなる」という考えは、貯金がある程度ある人が言えることです。そうでなければ、仕事が見つかるまでの生活費をきちんと準備してから動くようにしましょう。
【私の失敗談】 「同じ仕事」にこだわりすぎた
私の失敗は、もうひとつありました。「同じ事務の仕事」にこだわりすぎて、最初の数週間を、同じ条件の求人ばかり見て過ごしてしまったことです。職種を広げて探し始めたのは、貯金の減りが気になり始めてから。あのとき、「事務」以外の仕事も、最初から視野に入れておけばよかったと思います。
先にやっておけばよかったこと
- 「希望の職種」と「これならやれる職種」を、あらかじめ分けて考えておく
- 求人サイトで、希望以外の職種も、移住前に見ておく
- 自治体の移住相談窓口や、ハローワークに、移住前から相談する
パターン③ フリーランス・自分でビジネスを始める
地方移住をきっかけに、フリーランスになったり、小さなビジネスを始めたりする人も増えています。
カフェ、民宿、農業、ハンドメイド、ライター、デザイナー、オンライン講師。場所にとらわれない働き方で、自分らしいビジネスをつくる。
聞こえはいいですが、これが一番リスクが高い選択肢でもあります。
収入が安定するまでに時間がかかる、地方ではマーケットが小さい、思うようにお客さんが来ない、そういう現実もあります。
ただ、うまくいっている方に共通しているのは、移住「前」からすでに動いていたということ。副業として実績を積んでいたり、SNSやブログで発信を続けていたり、移住先でのつながりをすでに持っていた方がほとんどです。
移住してから「さあ、始めよう」では、スタートが遅すぎます。フリーランスや起業を考えているなら、移住前から準備を始め、ある程度収入の目途が立ってからにしましょう。
ここで失敗しやすいこと
- 「移住してから準備する」つもりで、実績ゼロのまま来てしまう
- 地方のお客さんの数を、都市部と同じ感覚で見積もる
- 収入が安定するまでの生活費を見込んでいない
パターン④ 移住支援制度を使う
実は、地方移住には仕事に関する支援制度もあります。
代表的なものが「地域おこし協力隊」です。自治体から給与をもらいながら、地域の課題解決や活性化に取り組む制度で、任期は最長3年。その間に地域に根ざしながら、次の仕事やビジネスの準備をするという方も多いです。
長崎県や各市町村でも、移住者の就職支援や、起業支援の補助金などを設けているところがあります。
「制度を知っているかどうか」で、スタートがかなり変わります。移住を考え始めたら、早めに自治体の移住支援窓口や、長崎県の移住サイトをチェックしてみてください。
【私の失敗談】 窓口の存在をあとから知った
私は、こうした窓口や制度の存在を、長崎に来てから知りました。求人サイトを一人で眺めていたあの時期に、もし窓口に相談していたら、もっと早く道筋が見えていたかもしれません。「一人で抱え込まず、先に相談する」。それが、今の私が一番伝えたいことのひとつです。
収入が下がることをどう考えるか
地方移住をすると、収入が下がるケースは少なくありません。私も正社員からアルバイト生活になりましたので、収入は移住前の3分の2くらいになりました。
でも、「収入が下がる=生活が苦しくなる」とは限りません。
家賃が下がる。通勤がなくなる。外食が減る。無駄な出費が自然と減る。支出が変わると、同じ収入でも生活の余裕が変わります。
大切なのは、移住前に「いくらあれば暮らせるか」をしっかり計算しておくことです。
収入が今より少なくなっても暮らせる生活設計ができているなら、移住のハードルはぐっと下がります。逆に、その計算をしないまま動くと、お金の不安が暮らしの満足度を下げてしまいます。
【私の失敗談】 計算せずに動いてしまった
私が失敗したのは、「収入が下がること」ではなく、「いくらあれば暮らせるのか」を、移住前に計算していなかったことです。収入が減ったあとになって、支出を一つずつ見直す作業を始めました。移住前にやっておけば、不安の大きさは、ずいぶん違っていたはずです。
移住前に計算しておきたいこと
- 毎月の固定費(家賃、光熱費、通信費、交通費など)
- 毎月の変動費(食費、日用品、交際費など)
- 収入が今より下がったとき、何割までなら暮らせるか
移住と仕事、どの順番で考えるか
よく「仕事が決まってから移住すべきか、移住してから仕事を探すべきか」と聞かれます。
私の考えは、「仕事の目途をつけてから動く」です。
私の経験から言いますと、「なんとかなるだろう」では心もとないものです。
リモートワークの許可が取れた、フリーランスの収入が安定してきた、内定をもらった。そういう「道筋」が見えてから動くほうが、移住後の生活が安定します。
仕事の不安を抱えたまま移住すると、暮らしを楽しむ余裕が生まれにくいものです。それはとてももったいないことだと思います。
移住前の「仕事チェックリスト」
- 移住後の働き方(リモート/現地就職/フリーランス/支援制度)を一つ決めたか
- 移住先の求人を実際に見たか
- 希望の職種以外の選択肢も考えたか
- 「いくらあれば暮らせるか」を計算したか
- 貯金は、最低6か月分あるか
- ネット回線を、住む予定の住所で確認したか
- 自治体の移住相談窓口やハローワークに相談したか
- 使える支援制度を調べたか
まとめ
地方移住の仕事についてまとめます。
- リモートワーク: リスクが低く、生活の質も上げやすい。ネット環境の確認を忘れずに。
- 現地で仕事を探す: 求人の事前リサーチと生活費の貯金が必須。
- フリーランス・起業: 移住前からの準備がカギ。移住後に始めるのは遅い。
- 支援制度を使う: 地域おこし協力隊や自治体の補助金を早めに調べる。
仕事のことを考えると移住が難しく感じるかもしれません。
でも、順番に整理していけば必ず道は見えてきます。
「あこがれ」だけで動かず、「現実」だけを見て諦めず。その両方をきちんと見たうえで、自分に合った働き方を選んでください。
