移住して2年。「想定外だけど、悪くない」長崎暮らしの正直な話
移住して2年が経ちました。
早いような、長いような、不思議な感覚です。
長崎に来る前、私はこの街のことをほとんど知りませんでした。観光で来たことは何度かあったけれど、「住む場所」として考えたことはありませんでした。それがなぜか、気づいたら「引っ越しするぞ」と勢いよく荷物をまとめて、長崎に乗り込んでいたわけです。
2年経った今、長崎での暮らしをひと言で表すなら、
「想定外だけど、悪くない」
これが正直な気持ちです。
よかったこともあるし、しんどかったこともあります。「こんなはずじゃなかった」と思ったこともあります。今回はその全部を、包み隠さず書いてみようと思います。
この記事でわかること
- 長崎に2年住んで「来てよかった」と思うこと
- 「しんどかった」と正直に思うこと(と、そのときの失敗)
- 今の私が「先にやっておけばよかった」と思う3つのこと
来てよかったこと① 景色が毎日のごほうびになった
長崎に来て最初に感動したのは、景色でした。
坂の上から見下ろす港。夕暮れ時に橙色に染まる海。あちこちで目にする美しい教会。
観光で来たときも「きれいだな」とは思っていました。でも、毎日そこで暮らしていると、景色の見え方がまるで違ってくるのです。
買い物の帰り道、ふと立ち止まって夕焼けを眺める。朝、窓を開けたら霧がかかっていて、街が幻みたいに見える。そういう「何でもない瞬間」が、毎日の小さなごほうびになっています。
「景色がきれい」というのは、移住の動機としてはちょっと弱いなと思っていました。でも今は、これがけっこう大事だったなと思っています。毎日目にするものが美しいというのは、暮らしの満足度がかなり違います。心が洗われるとはこのことだなと思います。
来てよかったこと② 食べ物が想像以上においしかった
これは移住前から期待していましたが、期待以上でした。
ちゃんぽん、皿うどん、角煮まんなど観光客向けの定番だけじゃなく、地元の人が普段食べているものがとにかくおいしいのです。
魚介類の鮮度は都市部と比べ物にならないし、野菜も安くて新鮮です。
スーパーで買い物をするのが、ちょっと楽しみになりました。「今日は何があるかな」と鮮魚コーナーを覗く習慣がついたのは、長崎に来てからです。
食べることが好きな私にとって、長崎は本当にいい街だと思います。
来てよかったこと③ 人の温かさに、何度も救われた
移住当初、私は長崎に知り合いが誰もいませんでした。
最初の数ヶ月は、本当に孤独でした。仕事もなかなか決まらないし、慣れない土地で、話せる人もいない。「私、本当に長崎に来てよかったのかな」と涙する夜もありました。
そんなときに、思わぬところから人のつながりが生まれました。
近所のお店の人が話しかけてくれたり、地域の集まりで声をかけてもらったり、困っているときにさりげなく手を貸してくれる人がいたり。
長崎の人は、距離の縮め方がとても上手です。押しつけがましくないのに、気づいたらそっとそこにいてくれるのです。そういう温かさに、何度救われたことか。
【ふり返って】 今思うと、私は最初の数ヶ月、自分から人に話しかけることがほとんどできませんでした。声をかけてくれた人たちのおかげで、今があります。もし、あのとき誰も声をかけてくれなかったら。そう考えると、少し怖くなります。だから今は、「待つ」のではなく、自分から「こんにちは」などとあいさつするようにしています。
来てよかったこと④ 時間の使い方が変わった
都市部で暮らしていたころ、私はいつも何かに追われていた気がします。
電車、人混み、仕事のスピード。毎日がなんとなく慌ただしくて、気づいたら一週間が終わっていたということもしばしばでした。
長崎に来てから、それがすっかり変わりました。
通勤時間が短くなり、時間に余裕ができました。その時間で、以前はできなかったことが少しずつできるようになりました。ゆっくり料理をする、散歩をしながらいろんなことを考える、ブログを書くなどです。
「忙しい」が口癖だったのに、気が付けば最近あまり言わなくなっているような……。
しんどかったこと① 坂が想像の5倍きつかった
正直に言うと、長崎の坂をなめていました。
移住前、「坂が多い街」というのは知っていました。でも「まあ、運動になるし、いいか」くらいに思っていたんです。
甘かった……。
毎日の坂は、観光地の坂とはまったく違います。買い物袋を持って登る坂。雨の日に滑りそうになりながら降りる坂。夏の蒸し暑い日に汗だくで登る坂。
慣れてはきました。でも「好きになったか」と聞かれると、正直まだ答えに詰まります。
【私の失敗談】 観光で歩いた坂は、景色を見ながらゆっくり登る「楽しい坂」でした。だから私は、住んでからも同じだと思い込んでいたのです。ところが、引っ越して最初に雨の日に買い物へ出たとき、両手に荷物を提げて、足元を気にしながら歩く坂は、まったく別物でした。「観光の坂」と「暮らしの坂」は違う。それを、体で覚えることになりました。
今ならこうする
- 買い物は、一度に持てる量を考えて、回数を分けるか、キャリーカートなどを使う
- 雨の日でも滑りにくい靴を、最初から用意しておく
- 内見のときに、荷物を持って、実際に坂を歩いてみる
移住を考えている方には、一度荷物を持って坂を歩いてみることを強くおすすめします(笑)。住んでから気づいても、遅いので。
しんどかったこと② 人間関係が思ったより密だった
「長崎は人が温かい」と前に書きました。それは本当のことです。
ただ、温かさと距離の近さはセットでやってきます。
自治会の集まり、地域の行事、近所のつきあい。都市部では希薄だった「地域とのつながり」が、長崎ではリアルです。
最初はそれに少し戸惑いがありました。ここに来るまでご近所さんがどうしているかなど考えたこともありませんでした。「最近どうしてるの?」と聞かれることに慣れていなかった私は、「なんでそんなに他人のことを聞くのだろう?」と不思議でした。
一人でいたい気分のときでも、ご近所さんと立ち話になることがある。
でも2年経って、今はそれも悪くないと思っています。むしろ、誰かと繋がっている感覚が、孤独を和らげてくれていた面もあります。
【私の失敗談】 最初の頃の私は、「最近どうしてるの?」と声をかけられても、短く答えて、そそくさとその場を離れていました。「プライベートに踏み込まれたくない」という気持ちが先に立っていたのです。でも、それがかえって「よそよそしい人」「つきあいにくい人」に見えていたのかもしれません。
今ならこうする
- 聞かれたことには、無理のない範囲で、短くても笑顔で答える
- 話したくないことは、さらりと話題を変える。それでも、相手の気持ちは受け取る
- 地域の行事は、無理のない範囲で、一つだけでも参加してみる
「人間関係が密」というのは、慣れるまでに時間がかかります。でも慣れると、それが長崎暮らしの居心地の良さの一部になっていきます。
しんどかったこと③ 仕事探しは本当に苦労した
これは以前の記事でも書いたことですが、仕事探しには一番苦労しました。
希望していた事務系の仕事が、思うように見つからなかったのです。ようやく仕事に就いたものの、収入が移住前より下がりました。
「なんとかなるだろう」という見通しの甘さがもろに出た形です。
今は別の職種に就いて、少しずつ自分の暮らしに合った働き方を見つけてきています。でも正直、移住前にもっとちゃんと調べておけばよかったと今でも思います。
【私の失敗談】 仕事が決まらない間は、貯金が減っていき、通帳の数字ばかりが気になって、せっかくの景色を楽しむ余裕もありませんでした。「早く決めなきゃ」という焦りで、最初に見つけた仕事に、深く考えずに飛びついたことも、あとから振り返ると反省点です。
仕事のことだけは、「勢い」で動かないでほしいです。これから移住を考えている方への切実なお願いです。
2年たって思う、「先にやっておけばよかった」3つのこと

ここまで書いてきて、私が「先にやっておけばよかった」と思うことを、三つにしぼってみました。
① 実際の求人を見ておく
移住前に、希望の職種の求人が、移住先にどのくらいあるのかを見ておく。たったそれだけで、心の準備がまったく違ったと思います。
② 暮らしを想像して確かめる
観光で歩くのと、暮らしで歩くのは別物です。坂、バスの本数、買い物、夜の様子。「暮らす目」で、現地を確かめておく。
③ 人とのつながりを自分から作る
最初の数か月、孤独を感じたのは、自分から動かなかったことも一因でした。地域の集まりに一つ顔を出す、近所の人に自分から声をかける。小さな一歩が、あとで大きな支えになります。
より詳しい内容は、「勢いで長崎に来てしまった私が、『これから移住するあなた』に伝えたいこと」や「地方移住と仕事」の記事にまとめています。
2年経って思うこと
移住して2年。
「正解だったか」と聞かれると、まだわからない部分もあります。でも「失敗だったか」と聞かれると、「それは違う」とはっきり答えることができます。
想定外のことはたくさんありました。思い通りにいかないこともありました。でもその全部が、今の自分の暮らしをつくっています。
長崎に来なければ、美しい夕焼けと山を眺めることはなかったでしょうし、あの坂をちょっぴり怒りながら登ることも、近所のおじさんと楽しく立ち話をすることもなかったでしょう。
「想定外だけど、悪くない」
これが、2年を経た私の正直な答えです。
移住はゴールではありません。ここでの暮らしはずっと続いていくのです。いいこともしんどいことも、全部込みで「自分の暮らし」になっていくのです。
